REIWA 対策委員会ニュース No.42 REIWAリゾート株 ハートランド伊勢

上野健一が、REIWAグループ企業の全株を共生バンク㈱」に売却。その結果、上野と和泉は、全国の分譲地から「排除」された!!

ハート管理㈱から届いた9月15日付「貴自治会のご回答に関して、協議拒否に対する再考の申し入れ書」で、最後の悪あがき

 この自治会及び対策委員会宛の申入書は、ニュースNo.41に掲載した8月11日付自治会文書(7月5日付の上野怪文書、8月4日付の和泉・上野連名文書に対する、自治会見解の通知文)で、「上野健一との協議は有り得ない」と告げたことに対し、改めて協議申入をして来たものです。

 内容は、ハート管理㈱は和知野からの完全撤退を決定済みで、自治会の懸念は不要であり、プール金の支払いと同時に、無条件で温泉・水道施設を自治会に移管することを約束するので、協議に応じて欲しいというものでした。

 自治会は、この申入れについて協議するため、臨時対策委員会の9月23日開催を決定しました。この時点では既に、私達の知らないところで、事態は急変していました。

 9月22日夕刻、南志摩オーナーズクラブより、「分譲地管理で急転直下の展開になったので報告します」のメールが届き、「稲田社長報告及び懇談要旨」が添付されていました。

 新たな事態への対応は次項に譲り、ここでは、9月23日に開催した臨時対策委員会における「9月15日付和泉文書」に対する議論を紹介します。


 ■9月23日、臨時対策委員会を開催、和泉文書に対する批判一色となる

 和泉文書をどう評価し、どう対応するか検討する中で出た意見は、次の通りです。

   ①和泉文書のタイトルは「貴自治会の回答に関して、協議拒否に対する再考の申し入れ書」となっている。しかし、自治会は詐欺師・上野との協議を拒否しただけで、代表取締役和泉一との協議は拒否していないため、誤った前提で書かれた文書になっている。

   ②温泉・水道施設を無条件で自治会に移管(無償譲渡)し、和知野から完全撤退すると言いながら、雲出台の温泉が枯渇した場合は、自治会が責任を持って和知野の温泉(井戸水)を給水車で供給することを条件にしている。これでは無条件・完全撤退ではない。

   ③雲出台からの撤退に触れてなく、ハート管理が居座った場合、彼らが対処すべきことを自治会に責任転嫁するもので、容認できない。ハート管理は、新たな井戸をボーリングしたり、有償で温泉水を購入し、住民に供給したりすべきだ。和知野からでなくとも温泉水の購入は可能だ。

    ④REIWAグループは管理業務からは撤退するが、所有不動産の販売は継続すると言い、自治会に妨害しないように求めている。まともな営業活動なら妨害する必要もないが、詐欺紛いの方法で入手した物件を高額で売ろうとした場合には、新たな被害者が出ないようにするのは、正当な行為である。

   ⑤温泉・水道施設を自治会に移管するのでプール金を引き渡せと言っているが、自治会がハート管理に要求したのは、温泉の自治会移管、水道の行政移管で、水道の自治会移管は求めていない。

   ⑥8項目要求は、完全撤退により無意味になると言っているが、法的義務のない管理費を脅し付きで執拗に請求して来たことへの謝罪文の提出は絶対に必要だ。

   ⑦完全撤退の口約束だけではプール金を引き渡すことは出来ない。2014(H.26)年度以降の収支報告書(明細書類付き)に加え、道路の行政移管、公営水道導入の名目で徴収した再整備分担金など2億数千万円の収支報告書の提出も不可欠だ。

   ⑧埋設後50年が経ち老朽化した温泉水(井戸水)の配管は、いつ破断して漏水するか分からない時限爆弾を抱えているようなものだ。道路も最低限必要な補修は自治会が行っているが、本格的な補修工事には莫大な費用が見込まれる。ハート管理㈱が、道路、温泉施設の本格的メンテナンスを済ませてから撤退するのであれば、プール金を引き渡しても良いが、放置したまま撤退するのであれば、プール金を引き渡すことは出来ない。

   等々、色んな意見が噴出しましたが、臨時対策委員会の前日(9/22)夕刻、南志摩オーナーズクラブから届いた次の情報により、状況が一変しました。  

上野健一は、シティトラスト不動産グループとの仁義なき戦いを演じた挙げ句、REIWAグループの全株を共生バンク㈱(柳瀬会長)に売却

 オーナーズクラブから届いたメール全文と添付文書は、次の通りです。

 「分譲地管理で急転直下の展開になったので報告します。

 添付した『稲田社長報告及び懇談要旨』をお読みください。ブログでの発信は今しばらく控えていただくようお願いします。

 なお、9月20日の共生バンク柳瀬会長・稲田社長・上野・和泉・斎藤・木谷区・住民会・オーナーズクラブの懇談会議事録は未作成です(内容がパールランドに特化している)、ポイントは

 ・上野一派の完全撤退(全国の分譲地)を柳瀬会長が明言

 ・共生バンクグループで分譲地の再開発

 ・住民主体の管理体制の構築

 ・話し合いでの問題解決

 詳細は、11月13日の協議会で。」

 このメール文を読んだだけでは事情が分からないと思いますが、次の添付文書を読めば、おおよそは理解して頂けると思います。

 ■添付文書「稲田社長報告及び懇談要旨」

 日 時: 令和3年9月14日13時~15時30分

 場 所: 町民文化会館大会議室

 出席者: 稲田社長、木谷区長、住民会会長・副会長、クラブ代表、副代表2名、他1名

 <稲田社長報告>

・南伊勢町の若者定住政策のメンバーであり、津波の心配がないパールランドは最適な場所である。私も家族で定住している為住み易い環境を作りたい。

・共生バンクがリゾート・ハートランド管理センター(伊勢・白浜)・千光住建の全株式を取得。また南伊勢町パールランド(町から受水する大元のタンクの土地所有者)の土地・タンクも同時に買い取り、インフラの権利を全て取得(水道施設・道路及び道路の地上権)

・共生バンクが全株式を取得したことにより他の分譲地も同様の扱いとなる。

・稲田社長がグループの代表取締役に就任。日本ヘリシス等他の会社の役職を辞任し、パールランドの正常化に専念する。本来は他の分譲地も所管すべきだが当面はパールランドに集中し、パールランドを成功事例として今後個々に対応を検討していく。

・共生バンクがシティトラスト不動産からハートランド管理センターの譲渡担保(7件以上の民事訴訟裁判)として買い取り(センターロッジ・フェニックス邸・廃ホテル・道路等)。

・シティトラスト不動産の柴山会長は脱税等で前科2犯、またホテル事業等もコロナの影響でほぼ破たん状況にあり、パールランドを良くするにはすべて買い取るしか方法はないと考え踏み切った。

・南伊勢町への未払水道料金2377万円も支払う意向(町から水道を継続して受水できるようにするため)。

・9月20日以降センターロッジを開放、誰でも自由に利用可能。10月以降は、社長以下3名ほどが事務所として常駐し、管理体制を構築。

・グループが所有している他の分譲地の水道・道路についてもシティトラスト不動産から共生バンクが取得予定、上野健一グループを完全排除する。

・9月20日10時、センターロッジにおいて、上野健一氏・斎藤和生氏・共生バンクの柳瀬会長・稲田社長・木谷区役員・住民会役員・オーナーズクラブ役員で会合を開催する。

・今後は住民会・木谷区・クラブの意見をまとめて、住民主体の住みやすい環境づくりを進めていく(管理契約・給水契約等も含め

・管理と水道を別会計とし、会計報告を実施する。また管理会社の人件費を管理会計に含めると管理費が高くなるため、取得した不動産の売買で充当することを検討。どちらにしても管理費や水道で利益を得るつもりはない。\

 <質問・要望>

・斎藤和生氏以下役員が経営に参画するのであれば我々は拒否する。

 A.斎藤以下従業員を引き受けるが、悪事を働かぬよう完全管理下に置く。

・上野健一氏がパールランドに残るのであれば住民は納得しない。

 A.9月20日に柳瀬会長より退去するよう明言する。

・木谷区の区会ではコンセンサスが得られていない。地元への説明・理解が必要。

 A.木谷区住民の方にも説明させていただく。

・リゾートやハートランド管理センターの名称のままでは所有者の信頼が得られない。

 A.変更する予定であり「パール」の名を冠する方向で検討したい。しかし、裁判等の関係で今しばらくは現状名で継続していく。

・住民及び所有者への説明は?

 A.全所有者に告知し、理解してもらう為、説明会をセンターロッジで2回程実施したい。

 ■REIWAグループを売却した上野の次の一手は、上野残党による「トロイの木馬作戦」か

 稲田社長の報告及び質疑応答は以上の通りです。この通り事が運べば、永年上野一味に苦しめられてきた私たち和知野自治会だけでなく、全国の分譲地所有者にとっても朗報であり、大歓迎です。しかし、手放しでは喜べない不安材料があります。

 この稲田社長の報告によれば、9月14日当時、REIWAグループは既に全株を取得した共生バンク㈱の傘下に入っていました。

 和泉は、何の権限もないにも拘わらず、私たちが何も知らないだろうと侮り、この期に及んでも、火事場泥棒的な詐欺を働いています。

 それが、ハート管理㈱代表取締役社長を名乗って送り付けた「プール金引き渡し」を求める9月15日付和泉文書です。

 和泉は、南志摩パールランドには9月15日付、和知野の土地会員とミサワホームランドには9月17日付の「管理費請求書」を送り付けました。

 たとえ上野と和泉を排除しても、共生バンクグループ(以下、共生BG)傘下の上野残党が、面従腹背しつつ巧妙に悪事を働く恐れがあり、その兆しは、島智之の奇妙な動きにも見て取れ、警戒心を持って臨む必要があります。

 ■共生バンク㈱の企業情報(ホームページより)

 会社名:共生バンク株式会社

 事業目的:グループ企業各社の経営管理ならびにそれに付帯する業務

 所在地:東京都千代田区麹町5丁目3番地

     第7秋山ビルディング5階

 設 立:1997年7月 ※都市綜合計画研究所㈱

 資本金:3億7950万円

 主要取引銀行:みずほ銀行・三菱UFJ銀行

 【役 員】   

 代表取締役:栁瀨 公孝

 専務取締役:金子  博

 常務取締役:栁瀨るり子

 取 締 役:芳賀 孝浩

       栁瀨 邦明

 監 査 役;平田 冨峰

 ホームページ記載の役員は以上の6名ですが、その半数の3名を柳瀬一族が占める同族経営の企業のようです。

【代表取締役会長役栁瀨公孝氏の略歴】

 2021年6月28日に出版した自著『成田空港の隣に世界一の街を造る男』の著者紹介より。

 1966年、兵庫県神戸市出身。共生バンクグループ代表。自衛隊を経て、1992年から資産家向け財務コンサルティングを始動。その後、建設・不動産会社を設立し、定期借地権付き分譲マンション事業などを行う。

  1997年、都市綜合インベストバンクグループ(現・共生バンクグループ)を設立し、不動産開発、不動産証券化などの事業を展開。

  現在、テレビCMが大好評の不動産ファンド事業「みんなで大家さん」をビジネスの中心に据え、グループ企業はバイオテクノロジー、テーマパーク、ホテルなどの分野で20社を超える(総資産額700億円超)。

  2024年には、成田国際空港の隣接地に敷地面積45万5000㎡(東京ドーム10個分)、総工費2000億円の複合型商業施設を完成させる。

 人や地球のために生きる「共生(ともいき)」の思想に基づいた企業活動を実践。経営の傍ら、2009年には「志士経営者倶楽部」を設立して勉強会を主宰、2011年には64名の国会議員から成る「国家経営志士議員連盟」を設立し、事務局長として国を経営する思想を広める。

 以上は、共生BGに関する情報提供ですが、情報収集する中で、何よりも不安を感じたのは、同社がビジネスの中心に据える「みんなで大家さん」の事業が、大規模な不動産物権を金融商品化し、年7%の利回りを謳い、一口100万円で販売する手法を採っている点です。

 かつて上野が年利5%、9%の利回りを謳って募集した「アセットプラン」「ハッピーリタイアメントクラブ」の預託金詐欺、会員券詐欺と、似通って見えるからです。

  ゼロ金利、マイナス金利のこの時代、ハイリスク覚悟でなければ手を出せない商品で、いずれ破綻を来たすのではないかと危惧しています。

 ■日本ヘリシス㈱と稲田竜太社長

 日本ヘリシス㈱

 2016年2月12日に設立された観光ヘリを運航する、資本金1億円の会社です。本社を北海道札幌市に置き、伊勢志摩営業所を南伊勢町田祖白浜海岸に置いています。

 2019年3月12日、津市と防災や観光分野などでの包括的な連携協定を締結しました。「津市伊勢湾ヘリポート」内に格納庫を建設し、そこに子会社「日本ヘリシスHD合同会社」の本社を置いています。

 協定締結時の記者会見で、稲田隆太社長は、本社の津市移転を目指すと表明しました。

 しかし、現在は、コロナ禍により、観光ヘリの運航を全面的に休止しているため、経営的にはかなり厳しさを増しています。

 稲田竜太社長

 かつて上野健一の「REIWAリゾート㈱社長就任要請」を断った経歴を持つ稲田社長は、南志摩パールランドに居住しています。

 同社の代表取締役は、社長の稲田氏だと思っていましたが、法人登記簿(全部事項証明書)は、2020年10月1日、「稲田氏の辞任、栁瀨鳳憲氏の就任」を証明しています。これは何を意味しているのでしょうか。稲田氏は代表権のない社長ということなのでしょうか。

 ■伊勢安土桃山城下街㈱

 「伊勢戦国時代村」は、1993(H.5)年4月27日、伊勢市二見町の10万坪の敷地に、実物大の豪華絢爛な安土城など、戦国時代の街並みを再現したテーマパークで、日光江戸村グループに属していました。

 2008年10月からは「㈱伊勢安土桃山文化村」が「ちょんまげワールド伊勢」として営業していました。開業当初、年間200万人あった来場者が、2015年には8万人までに減少し、2016年、共生バンクグループ」が買収しました。

 買収後、インバウンド向けに、総額100億円程かけて施設の大リニューアルを実施し、温泉大浴場や刀鍛冶工房、侍・忍者に変身できるコスプレ施設などを増設し、安土城は1泊500万円のホテルとして利用される予定としています。

 2017年7月、施設名を「伊勢安土桃山城下街」に変更し、2018年6月、社名を「伊勢安土桃山城下街㈱」に変更しました。

 2019年3月1日、施設名を「ともいきの国、伊勢忍者キングダム」に、同年7月24日、社名を「みんなで伊勢を良くし本気で日本と世界を変える人達が集まる㈱」に変更しています。

 ■津地裁伊勢支部、伊勢のテーマパーク運営会社に「不当解雇、1250万円支払い命令」

 伊勢安土桃山城下街㈱をネットで検索していて、同社を訴えた民事訴訟の判決が、2019年3月28日、津地裁伊勢支部であったと報じる4月2日付の伊勢新聞記事を見つけました。

 参考までに、記事の一部を抜粋して、以下に掲載致します。

 「伊勢市二見町のテーマパーク『ともいきの国伊勢忍者キングダム』(旧・伊勢安土桃山文化村)で不当な解雇や退職扱いを受けたとして、女性社員2人が施設を運営する伊勢・安土桃山城下街(栁瀨健一社長)に地位確認と未払いの給与支払いなどを求めた民事訴訟で、津地裁伊勢支部(伊藤康博裁判官)は原告の主張を認め、同社に約1250万円の支払いを命じた。」

 上記判決が下りたのは2019年3月28日ですが、その4ヶ月後の7月24日には、会社名を「伊勢安土桃山城下街㈱」から「みんなで伊勢を良くし本気で日本と世界を変える人達が集まる㈱」に変更しています。

 前回(2018年6月)の社名変更から僅か1年余りでの社名変更は、営業上マイナスであるにも拘わらず、敢えて社名変更したのは、余ほど裁判での敗北が堪えたものと思われます。

  社名変更でイメージチェンジを図る手法も共生BGに不安を抱く要因の一つです。

 共生BGには、コンプライアンスに徹し、健全な企業経営を通じて社会貢献して頂きたいと願うばかりです。

 なお、会社側は判決を不服として控訴しましたが、同年10月25日、名古屋高裁が会社側の控訴を棄却したため、会社側は判決を受け入れ、上告せずに支払っています。


 10月9日、新・ハートランド管理センター㈱の次期 社長と目される   稲田竜太氏と、今後の分譲地管理の方針を巡って話し合いました  

  9月30日、南志摩オーナーズクラブより、対策委員会に「稲田氏が和知野自治会への訪問を希望している。雲出台、ミサワも同席だと有り難い。その場合は各組織2名。週明けの火曜日以外の平日を希望」との電話が入りました。相談の結果、対策委員会が日程調整することになり、雲出台、ミサワ、和知野、稲田氏と調整した結果、10月9日(土)13時半より、和知野自治会集会所にて面談することになりました。

 自治会は、10月3日の第75回対策委員会にて、ハート管理㈱の次期社長と目されている稲田氏との面談にどう臨むか検討しました。その結果、稲田氏とは初めての顔合わせであり、雲出台とミサワも同席のため、和知野に特化した詳しい話は避け、3分譲地共通の関心事と思われる9項目について、稲田氏に質問することになりました。 

 ■稲田氏の自己紹介と共生BGによるM&Aを巡る経過報告

 10月9日(土)13時半より、自治会集会所にて、和知野自治会、雲出台自主運営会、ミサワホームランド榊原自治会の代表者7名と稲田氏が話し合いました。なお、この話し合いには、稲田氏を会場まで案内したオーナーズクラブ事務局長も同席しています。

 稲田氏は、自己紹介に続き、REIWAグループ企業の全株をM&Aにより、共生バンクグループ(以下、共生BG)が入手した経緯、今後の分譲地管理に対する共生BGの基本姿勢等について、概略、次のように語りました。

 私は、3年前から妻と娘の3人でパールランドに住んでいる。現在は、南伊勢町が出資して設立した地元産海産物の販売会社「㈱南伊勢商会」の代表取締役社長をしているが、南伊勢商会は二人代表制をとっていて、小山町長が代表取締役会長に就いている。

 今回のM&Aに関しては、正直言って騙された感があり、判を押してしまった以上、きれいにしていくしかないが、何度も心が折れかけた。

 住民の方に迷惑をかけないため、まずは顔を見せようと、和知野に対する会社の色々な情報、上野、齋藤、和泉の言い分は聞いてきたが、信用性はゼロに近いと思っている。

 それは、我々共生BGも一部騙されたという認識があるからだ。100%騙されたかというと、そうでもない。栁瀨会長と話をした上野が「私では無理だ」と言うので買収したが、共生BGが美味しい話に乗ったのかは…。

 栁瀨会長から「稲田、住んでいる所を良くしろ」と言われ、私は、株主側の立場で入っているが、パールランドは、オーナーズクラブさんも含めてまとまりかけている。

 今まで何故ダメだったのか、何故いざこざがあるのか。皆さん「齋藤と上野がいたら管理費を払わない」と口を揃えて言う。私も入居して1ヶ月後には、契約もしてないのに管理費8万8千円を請求する葉書が届いたり、先住者が滞納した水道代を請求されたりした。

 日本ヘリシス㈱の社員寮として3棟買ったので、管理費年額8万8千円の3棟分を別途、請求されたが、それに見合う管理がされてなく、水道も濁っていて飲めないので、管理費の支払いを保留し、顧問弁護士を通して内容証明でのやりとりを1年ほどしたが、ハート管理㈱(当時はKRG管理㈱)は時間稼ぎをするだけだった。

 発言権を確保するために、管理契約は結ばず、3棟分の管理費27万円位を支払ったが、モヤモヤは続いていた。丁度その頃、オーナーズクラブのAさんに出会った。

 あちこちに「管理費を払わないと水道を止める」とか、嫌がらせの看板を立てるような会社だったので、今年に入った頃からパールランドから出て行こうと思うようになった。

 私は奈良県出身で本社は北海道、何処でも住めるが、幼い娘は海が近いので気に入っているが、子供が住める環境でないという思いを抱えていた。

 実は、6月頃には転居を決め、共生BGの栁瀨会長に伝えると、理由を聞かれたので、「管理費や水道代で揉めているので、拘わりたくない」と言った。すると「どんな会社か」と聞くので、REIWA・ハート管理㈱の説明をした。その後、栁瀨会長が私の家に来た時に、「責任者に会わせろ」ということで、上野と会い、次の日にはM&Aを決めた。

 私は買収金額を知っているが、上野側にも会社にも守秘義務があるので言えない。

 私は債務責任者として、今回のM&Aに手を付ける立場なので、解決しなければならない様々な問題がある。パールランドについては、看板も取り外した。水道料金に管理費が乗せられているが、管理費とは何なのか、私には疑問がある。

 納得してない自分が、こんなこと言って良いのか。私も3棟で年間27万円ほど払っているが、これだけ多くの人から管理費を貰い、何処にお金を使っているのか、草刈りしかやってない。資産価値を上げるのは管理者側の責任だ。自分が経営者だったら、道をオレンジ色に舗装するとか、分譲地を良くするために使う。

 私の管理費に関する意見は、和知野とは関係ないと思うが、来年分を徴収するのはおかしい。予算化した計画があり、月々の管理費と水道代を12分割して払うのなら納得できる。払った上で、もっとこうして欲しいと管理会社に言えるシステムに変えたい。

 私は、払っている人の意見も聞かなくてはならない立場になったが、「あの人達は払ってない。どうするんだ」と言われ、困惑している。

 オーナーズクラブからは、管理費と水道料金を分けて欲しいという提案を頂き、良くなるんであれば改正することも出来る。

 それ以前に、安心して飲める水でなければ、水道料金として請求してはいけないと思う。

 私自身、家の水を飲めないし、風呂も濁っている。タンクを開けてみたら、ぞっとした。

 ただ、私に代わってからは、水道技術管理者として、ほぼ毎日、PH検査をしているので、パールランドは変わって来ている。

 それを継続するためには、どうしても管理費、水道の分担金を徴収しないと、管理を担当している社員や家族も養わなければならないので、無料という訳にはいかない。

 管理費的なものを徴収していく新しいシステムを作るとしたら、1年分を先に貰うのではなく、毎月の水道料金プラスで考えたい。私も、その金が他所の地域の人件費に充てられたりすることは納得できないので、伊勢だけの帳面で、口座を分けて透明化する。

 そうしないと、仮に水道のポンプの交換が必要になった時、銀行から借り入れる場合、管理費の利益があれば貸してくれると思うが、マイナスだと、水道の補修費用の借入も出来ない。

 そこは木谷の住民と相談し、利益を上げて銀行借入をするため、別々の口座を作って透明化するという形で南伊勢の方は決まって来ている。

 その中で、Aさんから「和知野さんとも話をして欲しい」と言われたので、会社側の話を聞くと、「上野が仲介すると申入れたが、信頼が無く断られ、交渉が出来ない」と言うので、私は「全く関係のない上野が交渉に入るのが理解できない」と言った。

 後は、自主管理しているということで(➡和知野:自主管理してない。自主管理させろと要求している)、そこで、相談ベースで皆さんの意見を聞きたい。私が実際に木谷の別荘地を自主管理してみたら、結構しんどい。若いスタッフも必要だ。

 ネットを見ていると、「REIWAは和知野から撤退してくれと、その代わりプール金を払う」とかの文面を見させて貰った。(➡和知野:そんなことは言っていない)それで皆さんの気持ちが落ち着くのであれば、私はそれでもいいと思っている。ただ、余計な心配かも知れないが、自主管理するには、結構ストレスと人件費、お金がかかる。

 (➡和知野:和知野に限定した話になっているが、和知野の詰めた話は別にしたい。温泉を自治会に移管されたら、住民が管理するのは技術的にも不可能なため、専門の業者に委託するつもりだ。ただ、水道・温泉以外のことは、外灯の交換は自治会が金を出してやれるし、道路は行政移管すれば良い。行政が受け取らない道路については自治会が補修することになるが、それは既に10年近くやっている。ただ、水(温泉・水道)に関しては立ち入れないので、完全な自主管理ではなく、それ以外は自治会が管理している。)

 和知野が温泉を自主管理するようになった場合、雲出台の温泉で困る住民がいるのではないか。

 (➡和知野:雲出台の温泉が枯渇した場合のことを言っているのか?)

 そうです。それは事実ですか?  

  (雲出台:関係ないと思う。温泉源が違う。雲出台にはミサワの温泉源から来ている。反対に水道は雲出台からミサワに送っている)

 そういうことですか、上水は反対なのですね。

 (➡和知野:この近辺には、ハート管理㈱絡みの分譲地が三つあるが、温泉源は和知野とミサワにしかない。ミサワの温泉源が枯渇した場合に備えて、和知野の温泉施設に設定した地上権の承役地として雲出台の道路が登記簿に登記されているのは事実だ。このことについて、上野は7月5日付の和知野宛文書で、ハート管理㈱が撤退後は、和知野自治会が責任を持つように要求している。問題は、ハート管理㈱の雲出台からの撤退に触れずに要求していることだ。雲出台から撤退しない場合、温泉源が枯渇したら、新たな井戸をボーリングするとか、緊急対応として有料の温泉水を購入して供給するとか、ハート管理㈱の和泉が全責任を負わなければならない。自治会に責任転嫁するのはお門違いだ)

 なるほど。

 ■和知野自治会の9項目の質問と稲田氏の回答

 以上の稲田氏の報告の後、質疑応答に移りましたが、論点が定まらず、話が散漫になったため、和知野が用意した9項目の質問に沿って質疑応答することになりました。

 9項目の質問に対する稲田氏との質疑応答は、概略、以下の通りです。

 ①和知野の今後について、和知野自治会との詰めた協議は、いつ頃に出来るのか。

 ➡毎週木曜日に伊勢湾ヘリポートに来ているので、午後や夜間であれば、分譲地毎に個別に話し合うことができる。日程を調整してオーナーズクラブからメールで連絡して貰うようにする。

 ②上野残党の3S(齋藤、島、鈴木)などが、栁瀨氏や稲田氏に面従腹背し、悪事を働く可能性が高いが、その防止策はどうなっているのか。

 ➡島と鈴木は一社員として働いている。二人とも社員としては優秀で真面目だ。上野に指示されて悪事を働いた過去があるかも知れないが、上野の指示に忠実に従っただけで、彼らも苦しかったと思う。上野と和泉は排除され、今後は私の部下となる。私の指示に反して悪事を働けば犯罪になるが、業務外で誰と連絡を取ろうが付き合おうが個人の自由で、会社は関与できない。

 ③稲田氏がREIWA・ハート管理㈱の社長に就任したのはいつか、まだの場合は、いつ頃に就任する予定か。

 ➡まだ就任していない。就任時期は未定だ。今は株主側の立場で、REIWAグループ企業の財務調査(負債総額の確定など)をしているところだ。その後、株主総会を経て役員交代となる。

 それまでは、REIWAリゾート㈱とハート管理㈱の代表取締役は和泉、千光住研の代表取締役は上野のままだが、実権のない名目だけの社長だ。

  ④稲田氏は日本ヘリシス㈱の社長を退き、REIWA・ハート管理㈱の社長に就任する予定と聞くが、稲田氏は、昨年10月1日、日本ヘリシス㈱の代表取締役を退き、栁瀨鳳憲氏に交代済みではないか。

 ➡昨年8月頃に入院して手術を受けることになったため、ヘリ運航会社の代表取締役を一時的に退いて、共生BGトップ栁瀨公孝氏の息子(栁瀨鳳憲氏)に代わって貰ったのは事実だ。その後、現場復帰して代表権のない取締役社長を経て、代表取締役に就任したが、法人登記簿上の登記変更が遅れていたところに、共生BGによるM&Aがあり、こちらに専念することになった。

 ⑤旧・ハート管理㈱が勝訴した9月14日の神戸地裁判決について、新・ハート管理㈱の社長として、どうするつもりか。

 ➡ハート管理の社長でもないので回答する立場にない。和知野と神戸地裁の判決に何の関係があるのか。私は住民が安心して生活できる分譲地にしたいだけだ。

 (➡和知野:大いに関係がある。神戸地裁判決は、無期限の契約更新を謳い、契約解除権を否定するハート管理㈱の管理約款を認めた。一度契約したら最後、所有地を手放さない限り一生管理費を支払い続けることになる。そんな判決を、管理費請求の根拠とするのか否かを聞いている。)

 (➡南志摩:共生BGは住民本位の管理を基本にすると言っているので、木谷区、住民会、オーナーズクラブの3者で管理規約、給水規約などを作成している。それを共生BGの法務部に提示し、修正要請があれば再検討することになる。)

 (➡和知野:それは大歓迎だ。ゼロベースで作り直すなら、全管連時代のものを踏襲する現行管理約款は廃止すべきだ。差止請求訴訟は、大阪高裁に控訴されたので、自動更新条項の廃止、契約解除権の承認を条件に和解すべきだ。)

 ⑥共生BGが、 ㈱シティトラスト不動産(以下、㈱CTF)から、㈱トラスト管理名義の 「道路等管理用地」を取得したのはいつか。まだの場合は、いつ頃取得する予定か。

 ➡未だ取得していない。㈱CTFとは係争中であり、取得の時期は不明だ。

 ⑦まだの場合、一方的な賃貸契約解除が無効だとしても、共生BGが手に入れたのは、センターロッジやフェニックス邸の所有権ではなく、賃貸契約に基づく使用権だけではないのか。

 ➡質問の意味が理解できないようで、ピント外れな回答を繰り返していた。

 ⑧共生BGは、 上野支配下の旧・REIWAグループが所有していた販売用の不動産も含めて買収したのか。売却前に所有権を移転し、資産隠しをしている可能性が高い。登記簿と突き合わせて確認する必要があるのではないか(昨年5月8日、和知野を訪れた齋藤が「和知野に販売用不動産を5,835㎡(1,765坪)を所有している」 と話していた事実がある)。

 ➡資産隠しはしていると思う。共生BGが上野に騙された面もあると思うが、そのことと和知野と何の関係があるのか、理解できない。販売用不動産を隠し持っていても、その価値は殆どゼロだ。共生BGとしては、入手した分譲地の資産価値を上げるために全力を尽くすだけだ。

 (➡和知野:大いに関係ある。上野一味は何も管理せずに資産価値を下げ、タダ同然に買い叩いて手に入れた土地を、一味の撤退による資産価値上昇を見計らい売り出す可能性が高い。7月5日付上野文書、9月15日付和泉文書が、それを裏付けており、そんなことは許せないからだ。)

 ⑨共生BGトップの栁瀨公孝氏と栁瀨るり子氏、栁瀨邦明氏、栁瀨鳳憲氏、栁瀨健一氏との関係(続柄など)の確認。

➡回答をためらいながら、栁瀨公孝氏と栁瀨健一氏は同一人物であり、栁瀨健一氏が本名であると回答しました。

 ■稲田氏との話し合いで、看板撤去などの成果

 9項目の質問に対する稲田氏との質疑応答は、以上の通りですが、それ以外の問題についても論議する中で、以下の成果が得られました。

 ❶従来の会計処理(丼勘定)を改め、管理費と温泉・水道料金の受入口座、会計を分離し、収支決算の公開、透明性の高い分譲地管理を約束しました。

 ❷雲出台の「私道の為、オーナー(管理費納入者)様以外の通行禁止」、和知野の「私道の無許可通行を禁止します」等の旧・REIWA・ハート管理㈱の看板は、10月14日に撤去し、トラックで搬出すると約束しました。

 ➡話し合い終了後、稲田氏に3枚の看板を見て頂き、「14日を待たずに自治会で撤去したい」と希望すると、即座に快諾して頂きました。そのため、7枚の看板(ノシアス時代の1枚を含む)の内、4枚は自治会が表面のシートを剥がし、白板状態にしました。

 その後、稲田氏より、和知野自治会との協議及び残りの3枚の看板撤去を、10月19日午後1時から行いたいとの申入があり、同意しました。

9月14日、神戸地裁、ひょうご消費者ネットの「差止請求」を棄却し、被告ハートランド管理センター㈱勝訴の不当判決       

  適格消費者団体「ひょうご消費者ネット(以下、消費者ネット)」が、ハート管理㈱を訴えた「差止請求事件」の判決言い渡しが、9月14日、神戸地裁民事2部でありました。

 小池明善裁判長が言い渡した判決の主文は、以下の通りです。

 1.原告の請求をいずれも棄却する。

 2.訴訟費用は原告の負担とする。

 この何も管理しない自称管理会社、ハート管理㈱の勝利判決を引き出したのは、被告の代理人を務めた市ヶ谷総合法律事務所(東京)所属の4人の弁護士です。

 彼らは、昨年3月31日、大阪地裁による「調停に代わる決定」を引き出し、ハート管理㈱が管理費の支払いを拒否する全国の分譲地所有者を脅す格好の材料を提供した弁護士達であることは、記憶に新しいところです。

 この不当判決に対しては、判決文を掲載した上で、徹底批判を加えたいところですが、判決の本文が17頁、別紙を含めると22頁に及ぶため、重要ポイントだけの指摘に止めます。

 ■差止請求訴訟で原告が求めたこと

 消費者ネットが問題にしたのは、ハート管理㈱の管理約款の第9条「本規約に基づく管理期間は、毎年1月1日から12月31日迄とする。但し、所有者が分譲地に土地を所有する間、更新するものとする。」の部分でした。

 これが有効だとすると、一度契約したら最後、何も管理しない自称管理会社に、所有地を手放さない限り、永遠に管理費を支払い続けなければならないことになるからです。

 そこで、同ネットは、2020年6月3日、神戸地裁に対し、消費者契約法に基づき、ハート管理㈱への差止請求訴訟を起こしました。

 具体的には、①更新条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行うこと、②契約対象の土地を所有していることをもって当該消費者が管理契約の更新の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行うこと、③消費者の解除権を放棄させる条項を含む契約の申込み又はその意思表示を行うこと、以上3点のの差止めと、④更新条項が記載された書面の廃棄を求めました。

  ■提訴から判決までの経緯

 2020年6月3日、神戸地裁に訴状提出。

 8月20日、第1回期日、被告が答弁書と準備書面(1)を提出。

 2020年11月10日、第2回期日、原告が第1準備書面、被告が準備書面(2)(3)を提出。

  2021年1月26日 第3回期日、被告の商号(社名)が、KRG管理㈱からハート管理㈱に変更。原告が第2、第3準備書面、被告が準備書面(4)(5)(6)を提出。

 4月13日、第4回期日、原告が第4準備書面、被告が準備書面(7)を提出。

 6月8日、第5回期日(最終口頭弁論)、原告が第5準備書面、被告が準備書面(8)を提出。

 9月14日、公訴棄却の不当判決

 提訴から第1回期日迄は、原告の訴状、被告の答弁書と準備書面がPDF形式で消費者ネットのホームページに掲載されていました。

 ところが、第2回期日の報告は、開催期日と準備書面提出の事実を告げるだけで、提出された準備書面が公開されていなかったため、消費者ネットに問い合わせると、裁判の中で被告側から抗議されたため、掲載は控えているとのことでした。そして、その後は再び公開されることはありませんでした。

 被告は、消費者ネットの提訴自体が「訴権の濫用」であるとして公訴棄却を求めました。その理由の一つとして挙げたのが、ネット上での書証の公開でした。

 しかし、裁判所は、被告の主張を、判決文で次のように退けました。

 ■判決文が被告の主張を退けた唯一の部分 

「原告は、消費者契約法13条に基づいて、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体であり、消費者の保護を図るために不当約款等の差止活動を行うことは、原告の目的及び業務の一環として認められているものである。

 被告は、原告のホームページには被告の実名入りで本訴の存在や原告及び被告の主張内容が掲載されている旨主張するが、原告には、差止請求権の行使による結果を広く消費者一般に情報提供するべき義務があるから(消費者契約法27条等)、かかる事実が原告の本訴提起の不当性の根拠になるとは解されない。

 また、被告は、本訴の提起及び追行は、消費者契約法23条2項及び34条1項4号に違反する旨主張するが、本訴の提起が不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反し、あるいは著しい不利益を被らせるものとは解されない。

 さらに、被告は本件更新条項が一見して明らかな不当条項ではないことは、本件高裁判決から明らかであるとも主張するが、本件更新条項が消費者契約法10条より無効となるかは審理を通じて判断されるべきものであって、本件高裁判決の存在が訴権の濫用の判断の基準になるものではない。

 したがって、被告の主張はいずれも採用できない。」

 ■被告は、東京高裁判決の援用一点張り

 被告側が頼みとしたのは、2016年の東京高裁判決でした。南志摩オーナーズクラブが起こした「債務不存在確認請求訴訟」でも被告KRG側が援用しましたが、KRGとの契約関係は認められず、被告の東京高裁判決を援用した主張は採用されず、原告勝訴となりました。

 その意味で、契約の存在を前提として、契約を解除する権利(解除権)の有無が、この裁判の最大の争点でした。

 被告の答弁書は、この契約解除権について、次のように主張しました。

「別荘地の管理契約からの離脱(契約の解除ないし更新拒絶)に関し、その効力の有効性につき言及した最高裁判例はなく、現時点では、東京高判平成28年1月19日判決(中略)が指導的な判例となっている。

 判決では、別荘地管理契約の法的性質を、①各別荘地の個別管理、②別荘地内の道路、排水路、ごみ焼き場、公園等の維持管理という全体管理、③別荘地所有者に上記施設を利用させること、という複合的な契約であるとしたうえで、(中略)不動産を所有して全体管理による利益を享受しながら、管理契約を一方的に解除してその費用負担のみを免れることを許容しているとは解されず、(中略)こうした不公平な事態を容認すれば、その仕組み自体が崩壊しかねず、ひいては契約目的を達成できなくなる。」

 「別荘地管理契約というものは、その契約関係からの自由な離脱を認めると、管理費に不足を生じ、これが為に管理会社の全体管理に支障をきたし、その質を低下させ、ひいてはその他の不特定かつ多数の別荘地所有者の利益を害するという特殊性を有する契約なのである。」

 「本訴の実質は、被告による別荘地全体の管理の恩恵を享受しながら、管理契約から一方的に離脱して、その費用負担から免れようという一部の別荘地所有者の利益を代弁したものにすぎないのであって、適格消費者団体による差止請求訴訟の外形を呈しながら、その実は、法の制度趣旨を濫用したものであり、(中略)消費者契約法の定める差止請求権の濫用であり、差止請求を求める訴えの利益がないものとして却下されなければならない。」

 ■判決文の構成について

 判決文は、判決主文に続き、1.請求(訴状に記された請求内容)、2.事案の概要(裁判所による争点整理を含む)、3.争点に対する当事者の主張、4.当裁判所の判断、5.結論という構成になっています。

 判決文の11頁以降に、争点に対する裁判所の判断が、次のように記されています

 ■判決文が示した「第4 当裁判所の判断」

  争点の中でも特に重要な「争点2(本件更新条項が消費者契約法10条により無効か否か)について」の判断の部分を、次に紹介します。

 (1) 本件管理契約の法的性質等

 被告が消費者との間で本件管理契約を締結するに際して適用している本件管理規約の主たる条項は別紙2のとおりであるところ、その内容は概ね、被告は、被告分譲地の生活環境の向上と被告分譲地の発展を目的として(1条)、共益

施設管理業務、所有地の管理補助業務その他の業務を行い(2条)、そのうち共益施設管理業務は、被告分譲地内の道路、温泉施設(当該分譲地に存在する場合)、下水道施設及び管理事務所等の維持管理、不審者の侵入等を防止するためのパトロール等、所有地の管理補助業務は、建築着工時の立ち会い等の個別の所有者のための管理業務を含み(3条1項及び2項)、管理費は共益施設等の維持を含む共益施設管理業務、所有地の管理補助業務に充てられ(6条)、所有者は管理費を支払うことによって受益者の立場から管理者が所有する共益施設等を使用することができる(5条)というものである。 

 かかる本件管理規約の内容によれば、本件管理契約は、被告が、被告分譲地を購入した者の委託に基づき、被告分譲地に存在する道路・温泉・下水道施設、及び管理事務所等の共益施設を維持管理し、被告分譲地を購入した者の所有地について個別の管理を行うという点で,準委任契約の性質を有すると解されるが、同時にこれら被告が所有する共益施設を管理費という対価を支払うことによって使用することができるという利用契約を含むものであって、複合的な性質を有する契約であると解される。また、本件管理契約は、被告分譲地の生活環境の向上と被告分譲地の発展を図ることを目的とし、(中略)

被告分譲地の所有者全員に共通する利益を図ることを内容とするものである。

  そして、被告としては、所有者の支払う管理費によって、被告所有の共益施設を維持管理することができ、被告分譲地全体の生活環境の向上や管理運営を円滑に行うことが可能となるのであるから、本件管理契約は、各所有者の利益のみならず、被告の利益のためにも締結されたものであると認められる。」

  【編注】以上のように、裁判所は、管理契約書に謳う管理業務が実際には何も履行されず、管理費の請求だけが執拗に行われている実態には目を背け、現地調査や被害者の証人尋問すら行わず、双方から提出された書証を読んだだけで、ハート管理㈱の管理規定に基づく契約を正当なものと認定したのです。

   そのような管理規約、管理契約、管理業務の理解の上に、次のように断定します。

(2) 消費者契約法10条前段該当性

 ア 原告は、現行民法656条により準委任契約に準用される同法651条1項は、当事者はいつでもその解除をすることができる旨定めているところ、本件更新条項は同条による場合に比して消費者の権利を制限するものである旨主張するが、本件管理契約が単なる準委任契約ではなく、利用契約を含む複合的な法的性質であることは既に判示したとおりであって、直ちに本件管理契約に同条が適用されるものではない。

(中略)個別の所有者による自由な解除を認めた場合には、(中略)最終的には被告による業務の継続が困難となって、被告分譲地所有者全体の利益を害するおそれがある。他方、被告分譲地を所有しつつ本件管理契約から離脱する所有者は、道路等の共益施設の利用を通じて被告による維持管理の成果を事業上享受しながら,管理費の支払を免れることになるのであって、かかる事態は、被告分譲地所有者間の衡平を損なうものである。そうすると、仮に準委任契約の法的性質に着目し、本件管理契約に現行民法651条1項を適用するとしても、同契約は受任者である被告のためにも締結されたものであるから、同項による解除は制限されると解すべきである。

 イ 原告は、本件更新条項は一方の当事者の同意を得ることなく擬制的に契約を更新させるものである旨主張するが、同条項は、所有者が分譲地に土地を所有する間は更新する旨明確に定めているのであるから、本件管理契約の契約者は、同契約の締結に際し、更新に同意していると解するのが相当である。

 ウ そうすると、本件更新条項が「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に当たるとの原告の主張は採用できず、本件更新条項が消費者契約法10条前段に該当するとは認められない。

 (3) 消費者契約法10条後段該当性

(中略)原告の主張は、消費者相談センターに寄せられた相談・情報に基づくものと考えられるところ、証拠(甲9)によれば、相譲事例の多くは、被告と本件管理契約を締結した覚えがないにもかかわらず管理費の請求を受けたとするものや、被告による管理の実体がないとするものであり、本件更新条項と直接関係するものではない。

 したがって、本件更新条項が消費者契約法10条後段に該当するとは認められない。

 (4) 以上のとおり、本件更新条項が消費者契約法10条により無効となるとは認められないから、同条違反を前提とする原告の各請求はいずれも理由がない。

 ■被害者の訴えを退けた裁判所の判断の誤り

 神戸地裁は、2020年4月1日に施行された改正民法が651条2項に二号を新設し、契約当事者の契約解除権を明確化した意義を一顧だにせず、旧民法下での東京高裁判決を踏襲し、被害者である消費者の訴えを退けました。

 その一例が、判決文の「消費者相談センターに寄せられた相談事例の多くは、被告と本件管理契約を締結した覚えがないにもかかわらず管理費の請求を受けたとするものや、被告による管理の実体がないとするものであり、本件更新条項と直接関係するものではない。」と、多くの被害の訴えを一蹴したことです。

 直接の関係がないといって切り捨てるのではなく、被害者救済の立場に立つならば、総合的に判断すべき事案でした。

 以上の判断に基づき、次の結論を下すのです。

第5 結論

 よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

 ■判決文は、被告の主張を無批判に、コピペ(丸写し)したものであり、認められません

 以上、判決文の中から重要争点に対する裁判所の判断と結論の部分を紹介しました。

 読まれた方は、誰もが被告側の答弁書での主張と瓜二つであり、改めて被告の主張を紹介する必要も無いほど、裁判所が被告の主張を代弁していることに気づかれたことと思います。

 東京高裁判決と神戸地裁判決に共通しているのは、管理費を払っている真面目な多数の所有者と支払いを逃れようとする利己的な少数の所有者の利害対立という虚構の図式で構成されていることです。これは事実に反し、とても容認できません。 

 ■大阪高裁での控訴審は、共生BG傘下に入った新・ハート管理㈱との和解の成否が焦点

 消費者ネットは、この不当判決を確定させないために、大阪高裁に控訴しました。

 上野健一は、地裁判決が下る前に、REIWAグループの全株を共生BGに売却しました。

 そして、共生BGは、住民主体の分譲地管理を約束していますので、控訴審では、新・ハート管理㈱と、法廷での和解協議(管理約款からの更新条項削除、解約権の保障が最低条件)で、解決を図るのが、最善策だろうと思います。

 この条件での和解を新・ハート管理㈱が拒むようであれば、共生BGの「住民主体の分譲地管理の約束」は、信用に価しないことになりますので、控訴審の推移に注目したいと思います。



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