REIWA 対策委員会ニュース No.49 ハートランド管理 KRG

 
 

  9月20日、大阪高裁「ひょうご消費者ネット」

の差止請求控訴審にて、ハート管理㈱「管理契約

自動更新」を認めず、「差止命令」の逆転勝利判決 


 9月20日、大阪高等裁判所(以下、高裁)にて、適格消費者団体「ひょうご消費者ネット」がハート管理㈱に対して起こした「差止請求訴訟」の控訴審判決の言い渡しがありました。
 判決は、控訴人(消費者ネット)が敗訴した一審の神戸地裁判決を覆し、ハート管理㈱の分譲地管理契約書第9条記載の「自動更新条項」を違法と認め、同条項を含む契約締結を禁じ、同条項が記載された書面の廃棄を命ずる「差止命令」を下しました。
 

大阪高裁が下した控訴審判決主文

 判決書は本文だけでも24頁、別紙1~4の資料部分を含めると52頁もありますが、ここではとりあえず判決の主文を掲載します。
                                                           ーーー☆ーーー
                                                            主    文 
1 原判決を次のとおり変更する。
 (1) 被控訴人は、消費者との間で分譲地管理契約を締結するに際し、別紙1規定条項目録記載の条項中「但し、所有者が分譲地に土地を所有する間、更新するものとする。」との条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。
 (2) 被控訴人は、消費者との間で分譲地管理契約を締結するに際し、当該分譲地管理契約の対象たる土地を所有していることをもって当該消費者が当該分譲地管理契約の更新の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。
 (3) 被控訴人は、別紙1規定条項目録記載の条項中「但し、所有者が分譲地に土地を所有する間、更新するものとする。」との条項が記載された書面を廃棄せよ。
  (4) 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを3分し、その1を控訴人が負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

 ■消費者ネットが控訴した趣旨

判決書は、主文に続いて、消費者ネットが控訴した趣旨について、控訴趣意書に基づき、次のように記載していま
                                                                  ーーー☆ーーー        
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、消費者との間で分譲地管理契約を締結するに際し、別紙1規定条項目録記載の条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。
3 被控訴人は、消費者との間で分譲地管理契約を締結するに際し、当該分譲地管理契約の対象たる土地を所有していることをもって当該消費者が当該分譲地管理契約の更新の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。
4 被控訴人は、消費者との間で分譲地管理契約を締結するに際し、民法656条により準用される民法651条に規定された消費者の解除権を放棄させる条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。
5 被控訴人は、別紙1規定条項目録記載の条項が記載された書面を廃棄せよ。
6  訴訟費用は、第1、2審とも、被控訴人の負担とする。
 ーーー☆ーーー
 前掲の判決主文は、この控訴趣旨の1で求めた原判決の取消ではなく、変更とした上で、2・3・5の請求を認めて「差止命令」を下し、4の契約解除権に関する請求を退け、6の訴訟費用全額をハート管理㈱負担とする請求には3分の1を消費者ネットの負担としました。
 4の契約解除権に関する請求が退けられたため、消費者ネットは「一部認容」としていますが、この判決の評価については、別項で詳述致します。

  ■控訴審判決書が認定したハート管理㈱による分譲地管理の実態
 判決文の8・9頁には、ハート管理㈱が管理していた24分譲地の販売済区画総数1万0979区画に対し、管理契約を締結している分譲地所有者は3230名に過ぎず、契約率は概ね3割であると認定し、契約率が低い原因として4点を挙げています。
 また、赤字を理由に「24箇所の分譲地の内、既に14箇所の分譲地の管理から撤退し、あるいは撤退を検討しているほか、大三台についても新たに撤退を予定している。」と記載しています。
 以下、該当する部分を抜粋して掲載しますので、ご確認下さい。
ーーー☆ーーー
 被控訴人が管理し、もしくは過去に管理していた分譲地は(中略)、合計24箇所である。この中には、すでに被控訴人が管理事業から撤退している分譲地も含まれるため、現在、管理している分譲地はこれよりも少ない。
 これらの分譲地の状況は様々であるが、(中略)未販売区画も多数存在する上、販売済み区画についても(中略)建物が建てられることなく放置されている区画の方が多い。
 控訴人の主張(編集者注:別紙2~4はハート管理㈱作成のため、「被控訴人の主張」の誤記と思われる)によれば、各分譲地の総区画数と販売済区画数は別紙2のとおりであり、被控訴人と管理契約を締結した者の人数は別紙3のとおりである。
 これをまとめた別紙4によれば販売済区画総数1万0979区画に対して、被控訴人と管理契約を締結している分譲地所有者は、3230名にとどまり、契約率は、概ね3割である。
 (中略)
 販売済区画でも管理契約を締結していない所有者が相当数存在するが(中略)原因として、 ①分譲がされた際に管理契約が締結されなかった、②分譲地を購入した者から第三者に転売されたが、購入した第三者が管理契約を締結しなかった、③分譲地所有者が管理契約の解約を申し入れて、被控訴人あるいはその前の管理契約の相手方であるZKR等がこれを受け入れた、④ZKRからケイ・アール・ジー、さらには被控訴人に事業譲渡がされる際に、分譲地所有者が事業の譲渡に伴う契約上の地位の移転を受け入れなかった等の可能性が考えられる。
 なお、被控訴人は、別紙2のとおり、14箇所の分譲地の管理からはすでに撤退し、あるいは撤退を検討しているほか、これとは別に別紙2の4番(大三台)についても新たに管理業務からの撤退を予定している。これらの撤退ないし撤退予定対象となっている分譲地は、被控訴人の主張によれば、赤字が大きく収益が少ない分譲地である。

 ■今一度、一審の神戸地裁判決を概観する
   ここで控訴審判決の分析に入る前に、消費者ネットが敗訴した一審の神戸地裁判決の論理構成を整理しておきます。
 一審判決の特徴は、ハート管理㈱が援用した2016年の東京高裁判決を、裁判官も援用し、丸写し同然の判決文を書いていることです。

 東京高裁判決は、南志摩パールランドの「債務不存在確認請求訴訟」でも被告KRG側が援用しましたが、KRGとの契約自体存在しないと認定され、住民側が勝訴しました。
 その意味で、今回のひょうご消費者ネットが起こした「差止請求訴訟」は、契約の存在を前提として、①自動更新条項、②自由解約権放棄規定ー―の二つの違法性を初めて問う重要な裁判となりました。
 一審の神戸地裁は、この二つの争点に対して、次のように判示しました。
 「原告は、現行民法656条により準委任契約に準用される同法651条1項は、当事者はいつでもその解除をすることができる旨定めているところ、本件更新条項は同条による場合に比して消費者の権利を制限するものである旨主張するが、本件管理契約が単なる準委任契約ではなく、利用契約を含む複合的な契約であり、直ちに本件管理契約に同条が適用されるものではない。」

 「個別の所有者による自由な解除を認めた場合には、(中略)最終的には被告による業務の継続が困難となって、被告分譲地所有者全体の利益を害するおそれがある。」

 「本件管理契約から離脱する所有者は、道路等の共益施設の利用を通じて被告による維持管理の成果を事業上享受しながら、管理費の支払を免れることになるのであって、かかる事態は、被告分譲地所有者間の衡平を損なうものである。」

 「仮に準委任契約の法的性質に着目し、本件管理契約に現行民法651条1項を適用するとしても、同契約は受任者である被告のためにも締結されたものであるから、同項による解除は制限されると解すべきである。」

 「原告は、本件更新条項は一方の当事者の同意を得ることなく擬制的に契約を更新させるものである旨主張するが、同条項は、所有者が分譲地に土地を所有する間は更新する旨明確に定めているのであるから、本件管理契約の契約者は、同契約の締結に際し、更新に同意していると解するのが相当である。」

 「本件更新条項が『法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項』に当たるとの原告の主張は採用できず、本件更新条項が消費者契約法10条前段に該当するとは認められない。」

 このように一審判決は、ハート管理㈱の分譲地管理の実態を問うことなく、法廷に提出された書証に目を通しただけで、消費者ネットの差止請求を、分譲地の全体管理を損なう主張であるとして棄却しました。

 ■控訴審判決がハート管理㈱の管理規約第9条の自動更新条項を「違法」と判断した理由
 控訴審判決は、ハート管理㈱と地裁が援用した東京高裁判決を「旧民法下の判決」と一蹴し、前述した一審判決の認定をことごとく覆し、自動更新条項を「違法」と断定しました。
 控訴審判決の該当部分は以下の通りです。                             
                                                                    ーーー☆ーーー
  「土地の所有を継続することをもって当該土地の管理契約を当然に締結・維持しなければならないような一般的な法理等が存在するものではないから、かかる条項は、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者(土地所有者)の義務を加重するものであることは否定し難いといえる。
 また、被控訴人は、分譲地所有者は、本件更新条項の存在に同意していることをもって、更新に同意していると主張する趣旨とも解されるが、それをもって更新時期のたびに新たな更新の申込みをしたとみることもできないから、この点は上記判断を左右するものではない。
 被控訴人は、全体管理の観点から契約からの自由な離脱を認めることは相当ではないと主張する。しかし、被控訴人分譲地(中略)契約率は約3割程度にすぎず、すでに全体管理といえるような状況にはなっていないから、(中略)当該契約関係を維持しなければならない特段の必要性等があるともいえない。
 以上のとおり、継続的契約においては、当該契約関係を維持しなければならないような高度の必要性や当該契約関係を終了させることが正義に反するような事情がある場合を除き、当該契約からの離脱も一定の範囲内で認められるべきところ、本件では、これらの点を認めることはできない。
 そして、本件管理契約が有償であること、分譲地所有者であっても、分譲地に建物を所有していない者も多く、これら所有者の多くが本件管理契約を必要としているとまでは考え難いこと、被控訴人は一部の分譲地について管理から撤退し(中略)自身の判断で契約から離脱できる自由を享受する一方、(中略)分譲地所有者には契約から離脱する自由を認めないことは明らかに不均衡であり、正義に反すること、被控人分譲地内であっても、本件管理契約を締結していない所有者の方が多いところ、偶々本件管理契約を締結した所有者のみが被控訴人分譲地を所有している限り、永遠にそれに拘束されなければならない理由は見出し難いこと等の本件で認められる諸事情を総合すれば、 本件更新条項のうち、土地を所有している限り更新される旨の規定は、民法1条2項(信義則)に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものと認めるのが相当である。

 ■控訴審判決は、民法651条に基づく「管理契約の自由解除権」について、どう判断したか
控訴人(消費者ネット)の請求趣旨の4「被控訴人は、消費者との間で分譲地管理契約を締結するに際し、(中略)民法651条に規定された消費者の解除権を放棄させる条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行ってはならない。」に対し、判決の主文(4)は「控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。」として、退けました。
 そのため、前述したように消費者ネットは「一部認容」の逆転勝訴としています。
 確かに控訴審判決は、消費者の解除権を放棄させる条項を含む契約の差止請求を退けました。
 それは、判決が契約の自動更新を認めていないため、管理契約を締結・更新した者について、自由解除権を1年間放棄させても、それ以降は1年単位で自由に契約解除できるので、消費者の被害は少ないと判断したのです。
 要するに、「契約を締結・更新しても、1年経てば自由に契約解除できるんだから、1年ぐらい我慢しなさいと言っているのです。
 これは、消費者の「自由解約権」を名目上は否定し、実質的に認めたに等しい内容といえます。
 判決書の該当部分は以下の通りです。                                            
ーーー☆ーーー
 本件更新条項のうち、土地を所有している限り更新される旨の規定が消費者契約法10条により無効であることは上記のとおりであるから、本件管理契約を締結あるいは更新した者は、1年間は本件管理契約から離脱することはできないものの、それ以降は、1年を単位として自由に契約関係から離脱することができることとなり、自由解除権の放棄条項による契約関係からの離脱の制限の影響は、大きいとはいえない。
 (中略)
 本件において、1年間の契約期間中に自由解除権を行使することができないとしても、それをもって民法1条2項に規定する基本原則に比して、消費者の利益を一方的に害したとまでは言い難い。

  判決書添付の「別紙2~4」は  
  嘘八百で、作成者ハート管理㈱  
   の悪どさ満載の捏造文書です      


  控訴審判決書に添付されていた別紙の資料4点は、何れもハート管理㈱が作成した分譲地管理に関する資料です。
 裁判官は、これらの別紙資料について、一部数値の矛盾を指摘しつつも、基本的にはこれらの資料で示された数値を事実と認定しています。
 しかし、それらの数値がいかにデタラメか、具体的に指摘しておきます。

 ■別紙1:規定条項目録
   これは、管理契約書の第9条(管理期間)の、「本規約に基づく管理期間は、毎年1月1日から12月31日迄とする。但し、所有者が分譲地に土地を所有する間、更新するものとする。」のことです。
 この規定は、全管連時代に上野が作成した管理規約に盛り込まれ、その後も自称管理会社はZKR、KRG、KRG管理、ハート管理と名称変更を繰り返していますが、この管理規約については一度も改訂することなく引き継いでいます。
 しかし、この規定に基づく管理契約の締結は違法とされ、「差止命令」が下りました。

 ■別紙2:ハート管理㈱の分譲地リスト
   このリストは、24分譲地を、大三台を含む10箇所を「管理事業継続予定」、残り14箇所を「撤退済ないし撤退検討中」と2分しています。
 なお、判決書の9頁には「大三台についても新たに管理業務からの撤退を予定している。」と記載されています。本当に撤退すればハート管理㈱の分譲地は9箇所になりますが、果たして…。
 このリスト自体が疑わしいのです。その理由は、ハート管理㈱から9月吉日付の管理費請求書が送られている白浜や南志摩の名前がリストから抜け落ちているからです。
 また、リストが、大三台の総区画数を382(販売済295、未販売87)としているのも不可解です。
 2016年の自治会の調査では、当時のKRG所有の販売用区画は10区画もありませんでした。

 2020年5月23日、REIWA・ハート管理㈱の齋藤専務は、個人のブログ「今、和知野で…」に寄せたコメントで、次のように記載しています。

 「当グループ会社等は(中略)販売用不動産5,835㎡(1,765坪)を大三台住宅地内において所有しております。」

  この齋藤専務の主張が事実とすれば、販売用不動産の1,765坪を未販売の87区画で割ると、1区画当たり20.3坪となり、こんな狭小物件に手を出す人がいるとも思われず、有り得ない話です。
 
 大三台の総区画数382の記載も疑問です。
 2001年4月の大喜観光グループから環境整備グループ(後のノシアス、全管連、ZKR)への事業譲渡時は262区画、2014年1月のZKRからKRGへの事業譲渡時は361区画、2020年4月のハート管理㈱和泉文書では500区画(内300区画が不在地主所有)としていました。

 このようにデタラメな数字が並ぶ別紙2~4ですが、大阪高裁は判決書の中で、一部の数字の矛盾点を指摘しつつも、「被控訴人において整理したものであり、概ね正確なものと認められる」と記載しているように、裁判官を騙すことに成功しましたが、分譲地管理の実態が酷すぎたため、判決主文に悪影響を与えることはできませんでした。
 このように裁判所すら騙しにかかるハート管理㈱は、正真正銘の詐欺会社という他ありません。

 ■別紙3:24分譲地毎の収支報告書
   24分譲地の収支報告は、2020年度と2021年度の2年分を開示していますが、20年度分のみが12箇所、19年度分のみが1箇所となっています。
 21年度分が報告されていない11箇所の説明はありませんが、既に撤退済みの可能性があります。

 大三台の収支報告について
   管理費収入(消費税込)については、2020年度分が88万3111円、21年度分が65万5976円と記載していますが、家屋建築者で管理費を支払っている人は皆無と思われます。
 そこで、土地所有者(不在地主)の管理費(税込3万3000円)で収入額を割ると、20年度は26.8人、21年度は19.9人が管理費を支払っていることになり、1年で7人ほど減っています。

 同様に、温泉料金の20年度分133万8042円と21年度分148万6494円を温泉料金年額4万4004円で割ると、20年度は30.4人、21年度は33.8人が、支払っていることになり、1年で3人ほど増えています。

 上記の別紙データが事実とすると、過去のハート管理㈱の主張と大きな食い違いが生じます。

 「家屋建築者177軒中、52軒が管理費、温泉・水道料金を支払っているが、125軒は管理費を支払わず、温泉・水道料金も支払わないか、旧料金で支払い、ほぼ全員が正規料金では支払っていない。」

 これは、ハート管理㈱から届いた2020年4月13日付和泉文書の一節です。
 これが事実だとすると、家屋建築者の管理費3万7715円+温泉料金4万4004円=8万1719円×52名の424万9388円に、管理費不払者が支払う温泉・水道料金、不在地主が支払う管理費等を加えた総収入は、かなりの金額になります。

 一方、裁判所に提出した収支報告書では、20年度は総収入232万2445円、総支出262万9109円、差引30万6664円の赤字、21年度は総収入234万9709円、総支出284万1257円、差引49万1548円の赤字とし、分譲地から撤退する理由としています。
 しかし、完納者52名が事実とすれば大幅黒字となります。一体どちらの数字が正しいのでしょうか。

 ■別紙4:24分譲地毎の戸数当り単価表
    この一覧表は、分譲地毎に、総戸数、販売済戸数、管理契約者数、管理費収入、戸数当り単価の順に記載されていますが、極めて杜撰、不誠実なものです。
 その理由を大三台を例にして説明します。
 第一に、大三台は建売分譲地ではないので、総戸数、販売済戸数の記載は誤りで、別紙2記載のように総区画、販売済区画と記載すべきです。

 第二は、管理契約者数123名との記載は事実に反するからです。別紙3の項で記したように、管理契約者は多くても20名程度と思われます。
 これは、請求通りに支払った人を黙示の契約者と見做した場合の数であり、正式に管理契約を結んだ人数は数名に留まると思われます。

 第三は、20年度の管理費収入88万3,111円を管理契約者数123名で割り、戸数当り単価7,179円としていることです。水増しした架空の契約者数を基に弾き出した数字には何の意味もありません。

デタラメな別紙資料、ハート管理㈱の意に反し、

分譲地の実態を顕在化

 ハート管理㈱が控訴審で大阪高裁に提出した別紙2~4の一番の問題点は、各分譲地毎の、家屋建築者と不在地主に分けた、①管理費額、②本当の管理契約者数、③実際の管理費支払者数の3点を開示していないことです。
 なお、7頁に別紙2~4を纏めた表を掲載していますので、本文と照合して頂ければ幸いです。
 このデタラメな数字が並ぶ別紙資料は、まるでゴミ屑の山のように見えます。
 しかし、そのゴミ山の中から「お宝」を探し出すのも一種の醍醐味です。
 それは、通常知り得なかった分譲地の実態を明らかにする作業でもあります。
 かつて㈱KRGが分譲地から撤退した時、50箇所の道路等管理用地を㈱トラスト管理に、管理事業をハート管理㈱に譲渡しました。しかし、別紙資料によれば、3年後の現在では、ハート管理㈱の管理対象分譲地は、既に撤退済か検討中の14箇所を含めても24箇所に過ぎず、「管理事業継続予定分譲地」とされていた大三台が、判決書で「撤退予定」とされ、今後も管理を継続する予定の分譲地は僅か9箇所のみであることが判明しました。
 その他の「お宝情報」の幾つかを紹介します。

 ■管理費収入No.1を誇る「あじろ南熱海が丘」
 分譲地リストNo.1の「あじろ南熱海が丘」が、管理費収入でも1位を誇っていることを知り、危惧が的中したことに驚いています。
 20年度は1206万992円で、21年度1046万9524円と、ダントツの管理費収入を計上しています。
 同分譲地には別荘所有者を中心に組織された自治会があり、かつては上野一味の管理放棄に対し、管理費支払保留で対峙していた時期もありました。  しかし、白浜の貸別荘建築で味を占めた上野健一が、柳の下の2匹目の泥鰌を狙い、2018年、当時のKRGランド㈱をハートランド㈱に名称変更し、本社を熱海に移転し、再分譲するために分譲地の化粧直しをすると、支払い保留を解除し、自治会員に管理費支払いを指示する過ちを犯しました。
 その後、自治会は上野と談合を重ね、分譲地管理に関する「覚書」を締結するに至りました。
 同分譲地の管理を巡るハート管理㈱と自治会役員との癒着の象徴である「覚書」については、ニュースNo.40の「和知野自治会との協議を拒み続けた上野一味が、あじろ南熱海が丘自治会との定期協議を約束した奇々怪々」の記事で、「本覚書の締結は、自治会の自殺行為に他ならない」と懸念を表明していますので、ご参照下さい。

 ■撤退を決めた「小野平」は、かつて上野が自画自賛していた「自治管理組合」の成功例だった

分譲地No.18の「小野平」は、兵庫県小野市池田町に所在し、総区画474、販売済区画371、管理契約者数164名とされています。
 「小野平」は、かつて上野健一が自著で「自治管理組合方式で荒廃した休眠分譲地を再生させた成功例の第1号」と自画自賛していた分譲地です。
 しかし、現状は、販売済み、未販売、総区画、管理契約者、何れも大三台を上回っていますが、20年度の収支で唯一の収入源である管理費が82万6200円と、大三台を下回っています。
 それでも70万6200円の黒字を計上できたのは、唯一の支出である管理人人件費が12万円と僅かだったからです。
 それでは、上野自慢の分譲地から、なぜ撤退しなければならなくなったのか、公に出来ない理由でもあるのか、疑問は尽きません。
 ■撤退の「伊勢宮川スリーパーク・ヒルズ」は、ZKR時代に「管理対象外区画」を宣言していた
分譲地No.11の「伊勢宮川スリーパーク・ヒルズ」は、三重県伊勢市上野町に所在し、管理契約者数は149名、管理対象の共益施設は、①私設水道施設(全域に供給。河川より取水)、②道路(一部私道に限る)、③事務所――としています、20年度分の収支報告は、収入が管理費118万4200円、支出が電気料金237万9378円で、119万5178円の赤字としています。
 21年度分収支報告が掲載されていないのは、既に撤退済みを意味しているのかも知れません。
 しかし、上野は全管連・ZKR時代に「管理対象外区画」を宣言し、既に撤退しています。
 そのため、やむを得ず、別荘所有者を中心に一般社団法人の管理協会を組織し、水道施設を自主管理して来たのです。

 ■津市白山町の「スカイグランデ」は、最大の区画数を誇ったが、原野と化し、既に撤退済み

分譲地No.12の「スカイグランデ」は、津市白山町に所在し、総区画2346と最大の規模を誇リます。
 別紙3によれば、管理対象施設として、①私設水道施設(全域に供給)、②道路(一部私道に限る)・街路灯、③管理事務所の3点を挙げています。
 しかし、実際には廃屋が1棟存在するだけの原野と化し、車両の進入すら困難な状態になっているにも拘わらず、管理契約者が94名もいて、20年度の収支報告は、収入1項目の管理費109万4137円、支出2項目、電気料金10万7671円、管理人人件費(巡回1名)96万円で、2万6466円の黒字としています。 しかし、これらの数字は信用に値しません。
 別紙3は、同分譲地の沿革について、次のように記載しています。
 「昭和40年代に開発分譲されたが、直後に開発分譲会社が撤退。その後、所有者有志での自主管理を続けていたが、高齢化等の事情によリ、所有者らが平成16年にZKRに管理事業参入を依頼し、ZKRがこれに参入。KRGKRG管理センター(ハートランド管理センター)での管理が継続されたが、管理費納入者の滅少に伴い、令和3年8月に撤退。」
 しかし、これが全くの捏造文書であることは、荒れ果てた現地を訪ねたら一目瞭然です。

 ■「関レークタウン」は、ハート管理㈱が脅しに使った「調停に代わる決定の」の分譲地

分譲地No.14の「関レークタウン」は、兵庫県姫路市安富町に所在し、管理契約者数148名、管理対象の共益施設は、①私設水道施設(全域に供給。河川より取水)、②道路(私道箇所に限る。メイン道路は認定路線)、③管理事務所ーーとされています。
 20年度収支は、収入の部(2項目)は、管理費406万9792円、水道料金109万5425円、合計516万5217円。支出の部(6項目)は、電気料金57万5468円、管理人人件費(巡回1名)150万円、他4項目は省略、合計254万3688円で、262万1529円の黒字としています。
 21年度収支は、収入の部(2項目)が管理費368万4550円、水道料金106万3887円、合計474万8437円。支出の部(8項目)が、電気料金64万6091円、管理人人件費150万円、他6項目省略、合計330万5915円で、144万2522円の黒字を計上しています。
 この「関レークタウン」は、ハート管理㈱が管理費不払い者に対して脅しの武器とした「調停に代わる決定」の対象となった分譲地です

 ■未だ撤退途上の「沖縄・希望ヶ丘」

 分譲地No.24の「沖縄・希望ヶ丘」は、沖縄県国頭郡恩納村に所在し、管理契約者数65名としています。現在の管理対象共益施設は「集中浄化槽」だけになっていて、沖縄県スタッフの巡回が中心。
 道路はKRG時代に行政移管。その後、水道施設も行政移管。合併浄化槽の移管は自治会と協議中。
 2020年度収支は、収入が管理費の44万円、支出は2項目で、集中浄化槽の電気料金143万4729円、管理人人件費(巡回1名)12万円で、111万4729円の赤字を計上しています。
 この沖縄の恩納村分譲地は、ZKR時代に道路等インフラの行政移管を上野と約束していたことで、一時脚光を浴びていましたが、未だ行政移管は完了していないようです。

 このようにゴミ資料の中にも通常知り得ない貴重な「お宝データ」が隠れていることもありますが、総じて、裁判所に提出した資料ですら信用に値しないのは、正直な数字を開示すると、経営実態をさらけ出すことになるため、嘘で塗り固める以外になかったものと思われます。



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